ティーレマンは2000年10月の定期演奏会でウィーン・フィルを初めて指揮。その後の両者の関係は良好で、2019年の「ニューイヤーコンサート」を指揮。また、ウィーン国立歌劇場でも、創建150周年当日の記念公演『影のない女』(R・シュトラウス)の指揮を任されるなど、いまやウィーン・フィルに欠かすことのできない指揮者の筆頭格となっている。この日のメイン・プログラムはチャイコフスキーの交響曲第6番『悲愴』。ウィーン・フィルの深い響きと、緩急自在にメリハリをつけたティーレマンの個性的なドライヴが、じつに陶然とした『悲愴』を作り上げている。イェフィム・ブロンフマンをソリストに迎えてのリストのピアノ協奏曲第2番では、ブロンフマンのゴージャスなサウンドの超絶技巧が圧巻。ティーレマンとブロンフマンは、2016年11月に「ザルツブルク・イースター音楽祭 in Japan」でシュターツカペレ・ドレスデンとベートーヴェンの協奏曲を演奏する予定だったが、ブロンフマンが健康上の理由でキャンセル。日本では幻となった両者の共演をお楽しみください。